日本国内には生息していなく、海外から入ってきた生物を外来生物と言います。もとから日本に生息していた生物を在来生物と言います。
外来生物の中には、日本の環境に適応して野生化し、(1)在来の生態系に悪影響を与えるもの、(2)毒や攻撃性を持っていて人に危害を与えるもの、(3)作物を荒らしたりして農林水産業に悪影響を与えるもの、が目立ってきました。
有害な生物を取り締まるために、2005年(平成17年)に、外来生物法(正しくは、特定外来生物による生態系等に係る被害防止に関する法律)が施行されました。
問題を引き起こす外来生物を特定外来生物として指定し、取扱いを規制し、特定外来生物の防除等を行うことを目的にしています。 出典:外来生物法(環境省自然局のホームページ)
特定外来生物に指定されている種数は、2021年8月現在:156種です。
龍泉寺(岡山市北区下足守)近辺でも、特定外来生物に指定された種を見かけます。
オオキンケイギク、アレチウリ、ヌートリア、オオクチバス(ブラックバス)、ブルーギル、カダヤシ、ウシガエルなど
特定外来生物に指定された生物は、下記の規制を受けます。
1.飼育、栽培、保管又は運搬することの禁止
2.輸入の禁止
3.譲り渡し等の禁止
4.野外へ放つ、植える及びまくことの禁止
主な改正内容
1.発見し次第、緊急対処が必要なものについては「要緊急対処特定外来生物」として政令で指定し(ヒアリを想定)、より強い規制権限がかかる枠組みの創設。
2.すでに広く飼育され、野外の個体数も多い外来生物(アメリカザリガニ・アカミミガメを想定)対策のための規制手法の整備
3.国と地方公共団体による防除の円滑化による防除体制の強化
2021年8月現在
分類 | 種数 |
哺乳類 | 25 |
鳥類 | 7 |
爬虫類 | 21 |
両生類 | 15 |
魚類 | 26 |
昆虫 | 25 |
甲殻類 | 6 |
クモ・サソリ | 7 |
軟体動物等 | 5 |
植物 | 19 |
計 | 156 |
原産地:北アメリカ
1880年代に観賞用、緑化用に導入された。
1970年頃から、ワイルドフラワー緑化の目的で、全国の道路の法面、河川敷、荒地などに、好んで種子がまかれた。フィールド一面に、橙色の花で覆われ、景観として好まれた。
繁殖力が強すぎて、大群落をつくり、オオキンケイギクが占有し、在来種を駆逐し、生態系を破壊する。
原産地:北アメリカ
1952年静岡県清水港で確認された。米国やカナダから輸入した大豆に、アレチウリの種子が混入したものが、動物、水、人間により実が搬送され、全国の牧場、林縁、河川敷、荒地に生息範囲を広げ、繁殖した。
成長の速いつる草で、 大繁殖し、在来種を駆逐し、生態系を破壊する。
原産地:南アメリカ
1939年フランスから輸入され、ヌートリアの毛皮を軍の防寒服用に使用するために飼育された。
1950年代の毛皮ブームの時も、飼育が盛んおこなわれたが、毛皮価格の暴落により、飼育が放棄され、中国、近畿、中京地方で野生化した。
食害による農作物の被害、巣穴を深く掘ることによる水田のあぜや堤防の破損原因の一つになっている。
原産地:北アメリカ
1925年米国から釣り用・食用として移入され、芦ノ湖に放流された。1970年代に漁業被害が問題視され、漁業調整規則で無許可放流が禁止されたが、その後も人為的な放流が続き、生息域が全国に広がった。ルアー釣り用の魚として人気が高い。
魚食性が強く、在来種の稚魚を食すことから、生態系に影響を与えている。淡水漁業者に被害を与えている。
写真は「めだかの学校」で撮影
原産地:北アメリカ
1913年に米国から移入され、1970年代にボウフラの駆除に有効として、各地で放流された。生息域は、福島県以南の各地域に拡大している。形態はメダカに似ているが、尾びれと尻びれで区別できる。
カダヤシは、卵胎生で繁殖する。
繁殖力が強く、雑食性で、プランクトン、在来魚の卵、稚魚を捕食する。在来種のメダカと競合し、メダカが減少した一因とされている。
写真は「めだかの学校」で撮影
原産地:北アメリカ
1918年に米国から養殖用サンプルとして移入された。国は食用として養殖を奨励したが、カエルを食べる習慣がなかった日本では普及しなかった。
1932年~1989年間(除く:太平洋戦争の期間)、米国へ冷凍肉として輸出された。肉に農薬が混入したことから輸出できなくなり、養殖放棄により野生化した。
肉食性で、口に入るあらゆる小動物を補食し、在来種のカエル・小動物の生態系に影響を与えている。