絶滅危惧種

豊かな生活をもたらした経済発展が、生物の絶滅速度を速め、地球史で「自然に起きている絶滅速度」より約100~1000倍速い速度で生物を絶滅させてきました。

レッドリスト

レッドリストは、絶滅のおそれのある野生生物の種を、絶滅危険度のカテゴリーでランク分けしたリストです。

レッドデータブック

レッドデータブックは、レッドリストの種ごとに、生息状況等の調査結果をまとめた解説書です。

レッドリスト・レッドデータブックは、世界的には国際自然保護連合(International Union for Conservation of Nature and Natural Resources、IUCN)が、日本では環境省、地域については都道府県が、種の絶滅危険性を調査し公表しています。

環境省レッドリストカテゴリー(ランク)

レッドリストのカテゴリーは、種の絶滅危険度を尺度にして、定義・分類しています。

絶滅(EX) 我が国ではすでに絶滅したと考えられる種
野生絶滅(EW) 飼育・栽培下あるいは自然分布域の明らかに外側で野生化した状態でのみ存続している種
絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN) 絶滅の危機にひんしている種
   絶滅危惧ⅠA類(CR)    ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの
   絶滅危惧ⅠB類(EN)    ⅠAほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの
絶滅危惧Ⅱ類(VU) 絶滅の危機が増大している種
準絶滅危惧(NT) 現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種
  絶滅危惧種  
植物Ⅰ(維管束植物)の環境省レッドリスト2020掲載種数表
出典:別添資料1 環境省レッドリスト2020掲載種数表
評価対象
種数
絶滅 野生
絶滅
絶滅危惧種 準絶滅
危惧
情報
不足
掲載種数
合計
絶滅危惧Ⅰ類 絶滅危惧
Ⅱ類
ⅠA類 ⅠB類
約7,000 28 11 529 520 741 297 37 2,163

日本のレッドデータ 検索システム」では、種名を検索することで、該当種の国および都道府県のレッドリストカテゴリーを調べることができます。

野生生物が絶滅の危機に瀕している理由

根本正之先生は、日本の野生生物がいなくなった理由を、著書「日本らしい自然と多様性」岩波ジュニア新書に記述されています。
著書の中で、「田園ですみかとしていた生き物たちが、かってない速度で減少している理由は、そのすみかが失われた場合と、生き物に対する人間の接し方が変化した場合、そして人間が海外からもちこんだ外来種がすみかを撹乱している場合、の三つに分けられるでしょう。」と指摘されています。

1.すみかが失われた場合

・雑木林、湿地、谷津田が、道路・住宅地・工場用地などに造成されことによる、すみかの消失
・農業の土地改良事業によって、水路やあぜがコンクリート化されたことによる、すみかの消失
・炭やたきぎ、ススキなどの屋根材が不要になり、雑木林や茅場の利用を放棄したことによる、すみかの消失

2.生きものに対する人間の接し方が変化した場合

・野草マニアや野草を売り物にする業者の乱獲による消滅
・在来種が生えている場所に、無知な人が同種の園芸種や外来種をまき、撹乱と交雑による消滅
・農薬による消滅

3.人間が海外から持ち込んだ外来種がすみかを撹乱している場合

・観賞用、緑化用として導入した種が、繁殖力が強く在来種を駆逐 (例:オオキンケイギクなど)
・穀物や飼料に混入した種が、野生化して在来種を駆逐 (例:アレチウリなど)
・外来種の中には、在来種と交雑して雑種になり、純粋な在来種を駆逐 (例:セイヨウタンポポなど)

龍泉寺の湿地の希少植物

トキソウ

見ごろ: 5月中旬~下旬
環境省: 準絶滅危惧
岡山県: 絶滅危惧Ⅱ類

ヒメミクリ

見ごろ: 6月~8月
環境省: 絶滅危惧Ⅱ類
岡山県: 絶滅危惧Ⅱ類

サギソウ

見ごろ: 8月中旬~下旬
環境省: 準絶滅危惧
岡山県: 絶滅危惧Ⅱ類

ミズトンボ

見ごろ: 8月下旬~8月上旬
環境省: 絶滅危惧Ⅱ類
岡山県: 準絶滅危惧

レッドリストカテゴリーは、「環境省レッドリスト2020」「岡山県版レッドデータブック2020」によります。

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